パラペットとは?注文住宅の屋根で考えるパラペットの特徴をお伝えします
パラペットとは聞き慣れない名前ですが、屋上やバルコニーに設置される低い手すりのような部位です。
中世の頃からヨーロッパの建築物に登場し、かつては城壁や城塔などに用いられました。
注文住宅でも、屋上やバルコニーにパラペットを作ることもあります。
今回は、注文住宅の屋根にパラペットを設置する方法やメリット・デメリット、メンテナンス方法まで紹介します。
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パラペットとは?目的や役割、特徴も紹介
はじめに、パラペットの目的や設置する役割を紹介します。
パラペット(parapet)はヨーロッパ発祥で、現在も木造の建物にはほとんど見られません。
どのような建物に設置するのがおすすめなのかも解説するので、参考にしてください。
パラペットとは?主な特徴
パラペットとは、屋上やバルコニーなどの外周部に設置する低い手すりのような部位です。
「胸壁」「扶壁(ふへき)」「手すり壁」などの別名もあります。
ヨーロッパの建物に多く見られ、かつては城壁や城塔の上に数多く作られました。
その一方で、木造建築ではほぼ施工例がありません。
日本では、明治になって西洋建築が盛んになると、一部の建物に取り入れられるようになりました。
パラペットの高さは10~150cmと幅があり、用途によって高さが決まります。
雨水を流す役割を果たすなら最低60cm、落下防止なら最低110cm以上の高さを設け、さらに転落防止の柵の設置が必要です。
パラペットの目的や役割
パラペットの一般的な設置目的や役割は、屋根スラブと壁面との接合部の防水効果の補強です。
パラペットの頭の部分に「返し」を作り、さらに溝を作ることで「コの字」型で雨水を落とす仕組みです。
また、装飾性の高い手すりを加えれば、バルコニーや屋上のアクセントにもなるでしょう。
パラペットを転落防止目的で作るなら、低いパラペットは子どもがよじ登る恐れもあるので、デザインを工夫するなど対策を取る必要があります。
注文住宅の屋根にパラペットは必要?
日本でパラペットが設置されている建物といえば、学校や商業ビル、ヨーロッパ調の建物などが多いです。
しかし、近年一般住宅でも「陸屋根」と呼ばれる平面で勾配のない屋根を作るケースが増えてきました。
陸屋根にパラペットを付ければ装飾性も高く、屋上利用の際にも便利です。
また、太陽光発電効率が高くなる、雨水が下に落ちて外壁を伝って雨漏りや劣化の原因になるのを防げるなどのメリットもあります。
デザイナーズハウスや輸入住宅のなかには、装飾性と実用性を兼ねて設置する例も増えました。
陸屋根のデザインによってはパラペットが必須なケースもあります。
パラペットを設置するメリットデメリット
ここでは、パラペットのメリット・デメリットを解説します。
設置を迷っている方は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握して、判断の参考にしてください。
パラペットを設置するメリット
パラペットを取り付ければ、屋根の傾斜の選択肢が広がります。
特に、陸屋根を作って屋上にして活用したい場合は、パラペットを付けるメリットは大きいでしょう。
また、シャープでキリッとした印象の屋根が作れるのもメリットです。
屋根を屋上として、洗濯物を干したり家庭菜園にしたりする場合、パラペットを付ければプライバシーも守れます。
雨水や汚水を排水溝に溜めやすくなるので、パラペットなしに比べて屋上や外壁をきれいに保ちやすいのもメリットです。
その他、装飾性の高い金属性のパラペットを作ればおしゃれな住宅を演出できます。
パラペットを設置するデメリット
パラペットは屋根とは別に設置するため、屋根とは別に費用がかかり、屋根のデザインによっては特注品が必要なので費用が高くなる恐れもあるでしょう。
また、雨水が排水口に集中するため、排水口にゴミがたまっていればオーバーフローを起こすため、定期的な掃除が必要です。
近所に落葉樹の大木がある場合は、掃除を怠るとあっという間にあふれてしまい、雨漏りが起こる恐れもあるでしょう。
他には、コンクリート製のパラペットを設置すると通気をシャットアウトします。
その結果、カビが発生したり木材が腐ったりする可能性があるので湿気が多い地域は注意が必要です。
この他、劣化した場合には修理などのメンテナンス費用もかかるのも大きなデメリットです。
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パラペットのメンテナンス方法とは
最後に、パラペットが劣化した場合のメンテナンスや修理、対応方法を紹介します。
屋根も定期的なメンテナンスが必要なので、それにパラペットの修理代が加われば、メンテナンス費用は高額になりがちです。
屋根のメンテナンスが頻繁に必要な地域は、パラペットのメンテナンスもこまめに必要となる可能性が高いでしょう。
雨漏りを防ぐならコーキングが必要
コーキングは、外壁材のサイディングの隙間を埋める目地として使われている建材です。
パラペットと防水層の間に隙間があると、そこから雨水が浸入して雨漏りが発生する恐れもあるでしょう。
隙間が小さい場合は、コーキングを挿入して隙間を塞ぎます。
メンテナンス方法としては比較的簡単なやり方で、雨漏りを防ぐ応急処置としてほどこされることもあります。
水の浸入を防ぐために防水シートを修復
パラペット自体に防水効果はありません。
防水シートを敷いて防水効果を作っている場合、経年劣化によって防水シートが破れたり穴が開いたりした場合は、修繕や張り替えが必要です。
陸屋根(屋上)も防水シートで防水している場合、一緒にメンテナンスをすれば別々におこなうより費用を抑えられるでしょう。
なお、防水シートが劣化したままだと短期間で雨漏りが発生する恐れがあります。
内樋の劣化を修復して板金施工する
内樋(うちとい)とは、パラペットの立ち上がりの部分と屋根スラブとの接合部分です。
内樋が劣化していると、雨漏りの原因となるので、内樋自体の板金施工が必要になるでしょう。
施工がどの程度必要なのかによって費用も変わってきます。
金属はガルバリウム鋼板の使用が一般的ですが、耐久性を重視して別の素材を使えば、その分費用も高くなります。
海辺など空気に塩分が多く含まれている地域は、内樋の劣化も早い傾向にあるので注意が必要です。
まとめ:役割を理解して検討を
パラペットは陸屋根の活用の幅を広げたり、雨漏りや劣化を防いだりするために有効な設備です。
ただし、メンテナンス費用もかかり、必ずしも必要な設備ではありません。
注文住宅でパラペットを検討する場合、メリットだけでなくデメリットも把握して、メンテナンス費用も計算したうえで、設置するかどうかを決めると良いですよ。
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